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男は語尾に力を入れて、房一の眼の中をのぞきこんだ。
と手早く切り上げて、堂本の家を出た。
何かしら、すつ飛んでしまつた。白い光るものも、鬼倉の隈取くまどりのやうに荒い皺の走つた顔も、それからあの、もやもやした怒りも。そして、ぼんやりとして次のやうな話がとり交はされるのを聞いていた。
「や、ありがたう」
「はあ、どうも」
「あゝ、さうだつた。なあんだ!」
「いや、どうも」
むかしからおれとこの人とは仲よしだつた――それは押しかくすことのできない悦ばしさだつた。
「ですが、一体財産譲渡つて云ふのはいつのことなんです、大分前ぢやないですか」
「あゝ、えらかつたなあ」
「あなたは御存知ないんですかね」
「もう遅いんですよ、おぢいさん。泊つてつたらどうです」